最近の星空

 

★4の星空

 4月、1月とはちがった意味で新しいスタートを切る月だ。ポカポカ陽気に誘われて重いコートを脱ぎ捨てたときの新鮮な気分と、満開のさくらのピンクと空のブルーのコントラストの気持ちよさが、縮こまった体と心をリフレッシュしてくれる。
 このポカポカ陽気で、雪景色の中で夜空を賑わした冬の星座たちは、まるで雪解け水に流されるように西の地平線へと消えて行く。一方春の星座たちは、かんむり座をしんがりにすべてが出そろい、星空も春爛漫の装い。

春の大三角
 大三角と言えば、冬の大三角や夏の大三角を思い浮かべるが、春の星空にも大三角はある。ベテルギウス-シリウス-プロキオンを結ぶ冬の大三角、ベガ-アルタイル-デネブを結ぶ夏の大三角。どちらも1等星を結んでできる三角形だ。
 ならば春の大三角は、レグルス-アルクトウルス-スピカと結びたいところだが、実際に結んで見るといささか間延びした三角形となり、どう見ても美的感覚に欠ける。先人たちはそんなことは先刻ご承知とばかりに、レグルスではなく、しし座のしっぽの星デネボラをアルクトウルスとスピカとを結んで、春の大三角とした。こうすれば、美しくバランスが取れた逆正三角形ができあがる。デネボラは2等星であることが残念だが、1等星のレグルスを選んで形を崩すのではなく、あえて2等星のデネボラを選んだところに、現代に生きる私たちよりもはるかに感性豊かだった先人たちの「粋」を感じる。
 春の大三角は、三つの大三角の中で最も大きい。4月の宵空で冬の大三角と比べ、未明の空で夏の大三角と比べてみると、一目瞭然だ。

 


4月11日 火星と土星が超ニアミス 

 4月上旬の明け方、南の空にはもうさそり座が南中している。東の空低い位置には、赤い火星と白い土星が並んで光っている。どちらも1等級ですごく明るいわけではないが、紅白そろい踏みといったところ。そんな火星と土星に4月6日に月齢26.4の細い月が並ぶ。また、4月11日には火星と土星が超ニアミスをする。
微動だにしない紅白の輝きは、きっとあなたを幸せな気持ちにしてくれるだろう。
●4月11日 火星と土星が超ニアミス
 3月22日には、金星と土星が超ニアミスをしたが、その金星はさらに高度を下げ見ることさえ難しくなったが、それに代わって土星が東の低空ながらゆっくりと高度を上げてきた。一方2月22日に金星とニアミスをした火星は、ほんの少し明るさを増して光っている。
 そんな火星と土星が、じわじわと間隔を狭め、4月11日に超ニアミスをする。4月8日の明け方には両星の間隔は2度角になり、4月9日に間隔は1.5度角まで接近する。そして11日にはなんと約0.4度角まで接近する。その後は徐々に離れ、4月14日には間隔は2度角を越える。
 0.4度角の接近ということは、100から120倍程度の望遠鏡の視野に収まってしまうほどの超ニアミスだ。火星はまだ距離が離れているので、赤いほぼ円形だが、土星は細くなったリングを見ることができることになる。ただし高度は日の出30分前で10度しかないので、シンチレーションの影響を受けてくっきりとは見えないかもしれないが、リングの存在はわかるだろう。