★12月の星空
今年も残すところあと1ケ月になってしまった。木枯しが歩道の枯れ葉をカラカラと吹き飛ばし,靴音がせわしなくコツコツと響く12月。今年は新型コロナウイルスに翻弄されながら暮れて行く。しかし星空はいつもと同じペースでゆっくりと冬の装いに替えて行く。12月の和名は「師走」。年の瀬となり忙しくなって、師匠といえども走り回るところから,付けられたというのが一般的だが,「年はつる月」「年はする月」が訛ったものだという説もある。いずれにしても「師走」と聞いただけで今年も終わりという思いがひたひたと押し寄せてくるから不思議だ。師走が終わると,また新しい年が巡ってくる。人の心はうつろいやすいのに、星空は毎年変わることなく同じ姿をちゃんと見せてくれる。12月宵になると東の地平線から必ずオリオン座が昇ってくる。もし地球が自転しかしていなかったら、星座の季節変化はないことになる。日本からはオリオン座は永久に見えなかったかも知れない。しかし神様は粋な計らいをしてくれた。地球に公転運動を与えてくれたのだ。おかげで私たちは、オリオン座が宵の東空に姿を見せ、星のきらめきが生き生きしてくると、今年も冬が来たと感じることができるように、季節ごとにちがう星座を見ることができるという感動を手にすることができた。

12月の流星群
一晩中最高条件で観望できる!
12月15日未明 ふたご座流星群が極大
三大流星群のひとつ、ふたご座流星群が12月5日から18日にかけて活動する。8月のペルセウス群の花火大会のような華やかさはないが、出現数が毎年安定しているという強みがある。しかも白色の流星が多く、写真写りが比較的いいというのも魅力的だ。また、ふたご座は冬の星座であるうえ、放射点がα星カストルのすぐそばにあって、ほぼ天頂を通過するために、一晩中観望・観測することができる。おまけに太平洋側では空気が乾燥して透明度が良くなるので、暗い流星まで見えるというメリットまである。
極大日の14日の月齢は1.5で,18時には沈んでしまうので,夕方から明け方まで月明かりに邪魔されないという,願ってもない好条件で観望・観測できる.
★ 今年は最高の条件
今年のふたご座流星群の極大時刻は、12月15日の午前4時ごろと予報されている。この時刻には放射点は西の空高度60度まで傾いてしまっているが、心配することはない。最初に書いたようにふたご座は冬の星座であるため、夕方から明け方まで見ることができるうえ、ふたご群は鋭いピークがないため、おそらく14日夕方から15日明け方にかけて、徐々に数を増やしながらコンスタントな出現を見せてくれるに違いない。しかも14日深夜の月齢は1.6なので、放射点が東の空に昇るころには沈んでしまっている。つまり一晩中闇夜の最高の条件で観望することができるというわけである。
★ふたご座流星群の見え方
ふたご座流星群は、α星カストルのすぐ西を放射点として、四方八方に流れる。流星は全天どの方向を見ていてもとらえることはできるが、確率が高いのはやはり放射点の方向だ。放射点は19時ごろ東の空に昇り、深夜2時ごろ天頂近くに達し、日の出の頃西の地平線付近に傾く。なので、宵のうちは東の空、深夜は天頂方向、未明は西の空を中心に観望すると良いだろう。

★市街地でも観望可能
観望・観測は,星がきれいな海や山の方が,暗い流星まで見えるので,より多くの流星をとらえることができる。かといって市街地では見えないのかとあきらめるのは早い。ふたご座流星群は、明るい流星も比較的多いので、街明かりが直接目に入らないような、建物や木立の陰で見るなどの工夫をすれば,1時間当たり10個程度の流星を見ることができるだろう。

■2021年12月15日3時ごろ 名古屋市内で撮影