最近の星空

 

新年の星空

あけましておめでとうございます。いくつになっても新年を迎えると、気持ちがリフレッシュするから不思議だ。ところで1月のことを日本では古来から睦月(むつき)とも言うが、この語源は正月は、身分の上下も老いも若きも関係なくの親族・友人達が一同に会してお祝いすることから、睦みあう月という意味だそうだ。ネット社会の普及とともに世界はギクシャクし始めている。5000年前から仲睦まじく光り輝くオリオンを中心とする冬の星座たちを、屠蘇気分で見上げながら、今年こそ平和な年になりますようにと祈りたい。

星座たちは、何度新年を迎えても何の変化もなく、いつもと同じように輝いている。オリオン座を中心に、三つ星を北西の方向に延ばすとおうし座があり、南東の方向に延ばすと、おおいぬ座がある。当たり前のことだと言ってしまえばそれまでだが、何もかもがめまぐるしく変化する時代に、おじいさん、ひいおじいさんが見上げた星空を、自分も眺め、自分の子供も孫も同じ星空を見上げるのかと思うと、なんだか、過去と現在と未来は目に見えない絆でしっかり結ばれているように思えてきて、がらにもなく妙に感動してしまったりする。

 

●長寿と天下泰平の星カノープスを見よう!

 今年は、新型コロナウイルスのおかげで大変な1年となった。まだまだ続きそうな気配だが、来年こそは終息願いたい。
ところで、12月21日、22日の397年ぶりに起こった木星と土星の大会合は御覧になっただろうか?ベツレヘムの星の再来かも?と言われる天文ショー。心から奇跡が起こると願うばかりだ。新年を迎えたところで、長寿と天下泰平のありがたい星を眺めることにしよう。

  全天で最も明るい恒星、おおいぬ座のシリウスが南中する20分ほど前に、シリウスに次いで2番目に明るい恒星、りゅうこつ座のカノープスが、南の地平線わずか3°の地平線スレスレのところに顔を出す。


 この地平線や水平線スレスレに見えるこの星には、日本各地でも昔から気がついていた。代表的な呼び名は、『めらぼし』、これは房総半島南端にある布良(めら)港の名を取ったものだ。『めらぼし』は、嵐のために海で死んだ漁師の魂が海上に現れて、仲間の漁師を呼んでいるという、不気味な言い伝えが残っている。これは海が荒れる2月の宵に姿を見せることから創造されたのだろう。そのほか、少ししか姿を見せないことから、中国四国地方では『横着星』、その他の地方でも『不精星』『道楽星』などと呼ばれ、なまけものの代表格になっている。他に海のしぶきがざぶざぶかかるように見えることから『ざぶざぶ星』という呼び名を与えている地方もある。


 所変わってかつて中国の都であった洛陽や西安では、地平線スレスレのところにほんの短い時間しか見えないカノープスを南極老人星と呼んで、この星が南の地平線上に明るく見えたときは、迎える年は天下泰平・国家安泰のしるしだと慶ばれたという。また、この星が赤く見えることから、七福神の一人で酒好きでいつも赤ら顔をした寿老人に見立てていたため、この星を拝むことができたら、長生きができると尊ばれた。
 このカノープスが、東海地方ではちょうど新年を迎える23時40分ごろに南中する。このおめでたい星を、お正月拝むことができたら、きっと迎える年は平和で健康な1年になるだろう。紅白歌合戦が終わるころ、南の空が地平線まで開けたところに出かけて、ぜひカノープスを見つけよう。


 もし、お正月の夜に見えなくても大丈夫。1月中旬なら午後11時ごろ、下旬なら午後10時、2月中旬なら午後9時ごろ、下旬なら午後8時ごろが見ごろとなる。
カノープスを見つけて、ぜひよいおお正月を過ごしください。