★4月の星空
4月、1月とはちがった意味で新しいスタートを切る月だ。ポカポカ陽気に誘われて重いコートを脱ぎ捨てたときの新鮮な気分と、満開のさくらのピンクと空のブルーのコントラストの気持ちよさが、縮こまった体と心をリフレッシュしてくれる。
このポカポカ陽気で、雪景色の中で夜空を賑わした冬の星座たちは、まるで雪解け水に流されるように西の地平線へと消えて行く。一方春の星座たちは,かんむり座をしんがりにすべてが出そろい、星空も春爛漫の装い。
春の星空は、天の川から離れてしまっているために、星数が少ないうえ春霞のためどことなく寂しげだが、それでも見えている1等星を数えてみると10個もある。このうち春の星座で輝くのは、しし座のレグルス、うしかい座のアルクトウルス、おとめ座のスピカの3個だけだが、今年はかに座で火星が暗くなってきたもののまだ赤い光を放っている。
ところでオレンジ色に輝くアルクトウルスは、シリウス,カノープスに次いで全天で3番目に明るい恒星だということは、意外と知られていない。改めてもう一度見直してみると、確かに明るいことに気が付くだろう。

月と火星がランデブー
4月5日 上弦の月と火星が並ぶ
1月12日に地球に接近した火星が、じわじわと遠ざかり、4月の声を聞くようになると視直径は7秒角台まで落ち込んでしまった。おかげで明るさも0.5等と今までの元気がなくなってきた。火星独特の赤さは少し暗めのほうが強調されている感じがする。
そんな火星が、ふたご座のポルックスの南を足早に順行して、4月中旬にはかに座へと移り5月5日にはプレセペ星団に大接近する。
●4月5日 月と火星が並ぶ
その1か月前の4月5日にふたご座の頭部を順行中の火星が、ふたご座の1等星ポルックスの南で、月齢7の上弦の月と並ぶ。月と火星の間隔は、20時で約5.5度角だ。この間隔は時間とともに狭まり、月と火星が西の空に大きく傾く23時には4.2度角となる。火星とポルックスの間隔は4.4度角、月とポルックスの間隔は3.2度角なので、ちょうど火星を頂点とした二等辺三角形に並ぶことになる。このようすは、7倍双眼鏡の一般的実視野(7度角)にちょうどうまく収まる。赤い火星と金色のポルックス、地球照をうっすら伴った上弦の月との色や明るさの対比がとてもロマンチックだろう。
