最近の星空


9月23日は秋分

 9月23日は秋分。太陽が真東から昇って真西に沈む日であり、昼と夜の長さがほぼ同じになる日でもある。この日を境に夜の時間の方が長くなってゆく。

 とはいえ9月は夏と秋とが同居する月。真夏を思い出させるような残暑があるかと思えば、乾燥した心地良い風が吹くこともある。おかげで天気は不安定。ときには台風が日本を直撃することだってある。しかし台風一過の夜空は最高。台風が大気の塵をみんな吹き飛ばしてクリアーにしてくれるから。ところが今年はいつもの9月とは違う。早々と10月を思わせるような涼しさだ。しかも巨大台風がやってくる気配もない。さらに8月からの曇りがちの日々が続いている。

 とはいっても星空はまだまだ夏の装い。さそり座は南西の地平線にへばりついて風前の灯だが、夏の大三角などはやっと南中したばかりで、さあこれから夏本番と言わんばかり。それでも東の空からは秋の星座たちが静かに登場してきている。それにしても天の川を境にして東側の何と星数の少ないことか。1等星はみなみのうお座のフォマルハウトただひとつ。それも南に低いために輝きに元気がない。フォマルハウトのことを日本では“秋のひとつ星”と呼ぶが,まさにぴったりの名前.秋の寂しさの気配を感じることができる。
ただし今年は、やぎ座で木星と土星が輝いて、いつもより華やかな初秋の夜空となっている。


★9月21日は中秋の名月

 満月は1ヶ月に1回あるのに,どうして秋の満月だけわざわざ祝うのだろう.
 中秋の名月は,必ず旧暦の8月15日に祝うと決まっている.太陰暦(旧暦)では7月,8月,9月を秋として,7月を初秋,8月を中秋,9月を晩秋と呼んでいるから,中秋と付く訳.名月とうたっているのは、旧暦8月は大陸の乾燥した空気が秋風となって流れ込んできて透明度が良くなり一層月の光が冴えるからだ。


 ところで、なぜ中秋の名月にはススキと白玉団子をお供えするのだろう?「そんなの昔からの風習でしょ」と言われるかもしれない。でもそれなりの理由があるはずだ。というわけで中秋の名月の歴史の糸を手繰ってみると、日本の神代の時代まで遡ることができる。日本神話のトップの神は、天照大神(アマテラスオオミカミ)。太陽を象徴する女神だ(女神が太陽というのは珍しい?)。それに対して月を象徴する神は、男神月読命(ツクヨミノミコト).また、二人の神を象徴する植物がある。天照大神は「女性的」「豊かな実り」「垂れる」という意味あいから,秋になると稲穂を実らせて頭をもたげる主食でもある「イネ」。一方月読命は「男性的」「不毛」「まっすぐ伸びる」という意味あいから、川原や野原でまっすぐ伸びる「ススキ」なのだ。もう少し付け加えるなら,まっすぐ立つススキは,男性自身であり,剣でもある.つまり次のような関係が成り立つわけだ.
太陽=女神アマテラス=豊饒=イネ
月=男神ツクヨミ=不毛=ススキ
 次に,白玉団子をお供えするわけは,昔から空に浮かぶ月は,潮の満ち引きを起こしたり,女性の生理をつかさどる霊力を秘めた真珠のようなものだと信じられてきたというところにあるらしい。 つまり中秋の名月は月読命をおまつりする儀式というわけである。
 ところで、中秋の名月の夜には、ススキとお団子のほかに、収穫した里芋などをお供えするので、「芋名月」ともいう。
●仲秋の名月の日は「仏滅」?!
 中秋の名月の日は、毎年必ず「仏滅」になることを知っているだろうか。「月をおまつりするめでたい日が縁起の悪い仏滅だなんて」と思ってしまうが、このからくりは六曜つまり先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の決め方にある。六曜は、旧暦に基づいていて毎月1日(朔日)が1月と7月は先勝から始まるというように,月によって何からスタートするかが決められているのだ。中秋の名月の月である旧暦8月1日は友引から始まるので、旧暦8月15日の中秋の名月は、友引-先負-仏滅-大安・・・・・と15日まで数えて行くと、必ず仏滅になるというわけだ。つまり仏滅だから縁起が悪いなんてことは関係ないということになる。
 さて,中秋の名月が必ずしも満月となるとは限らない.実際の月の満ち欠けの周期と,旧暦とが完璧にリンクしていないためだ。


 2021年の仲秋の名月9月21日は、ぴったり満月と重なっているので、文字通りお盆のようなまん丸の月を見ることができる。