みどころ

 

●小惑星ベスタとメティスがみごろに

12月15日散開星団M35に接近
 火星と木星の軌道の間には、無数の岩石のような天体が公転しているが、これらの天体を小惑星と呼んでいる。このうち始めに発見された明るい4個の小惑星,セレス・パラス・ジュノー・ベスタは,四大小惑星として知られている。この四つの小惑星のうち ベスタは,1802年3月28日、ドイツの天文学者オルバースによって第4番目の小惑星として、おとめ座で発見された。直径約500kmで小惑星中3番目だが、明るさは四大小惑星のなかで最も明るく、好条件下では肉眼で見えることもある。 このベスタが、12月22日にオリオン座のこん棒の先で光るχ1星の近くで衝を迎える。また、1848年4月25日に、アイルランドの天文学者アンドリュー・グラハムによって発見された。小惑星メティスが、12月21日にふたご座のカストルの足先で光るη星の北で衝となる。メティスは、8等級とやや暗めだが、ベスタとともにそろって観望チャンスを迎えるので確認するチャンスだ。しかもふたご座の足元は天の川の真っただ中なので、星雲や星団との接近も楽しめ、ふたご座流星群が極大となる12月15日前後は、ふたご座の明るい散開星団M35の北にメティス南にベスタが並ぶ。


●ベスタとメティスの動き
 それでは、もう少し詳しくベスタとメティスの動きを見てみよう。11月11月初旬にふたご座で留となったベスタとメティスは逆行に転じた。このときの両小惑星間隔5度角程。そして双子のカストルの足先の星、μ星(2.9等)、η星(3.3等)、1番星(4.2等)を挟むように東から西に移動し散開星団M35に近づいて行く。そして12月14日には、北からメティス、M35、ベスタが一直線に並ぶ。その時のメティスとM35の間隔は2.9度角、ベスタとM35の間隔は3.9度角となる。7倍双眼鏡の視野(実視野7度角)には3天体がぎりぎり収まるか収まらないかといった感じだが、ベスタとM35、メティスとM35ならバランスよく収まる。ただしメティスは8.6等なのでよほど空の条件がよくないと見えないかもしれない。 観望・撮影は数日間続けて、ベスタやメティスが星雲星団の近くを通過してゆくようすを楽しもう。