見えた!22年ぶりの土星食

 日本では22年ぶりとなる夜間見える土星食が昨夜起こった。午前中は冷たい雨が降る悲しい天気だったが、午後から冬型の気圧配置が強まり東海地方は青空が広がった。当初は晴れ間を探して遠征しなくてはならないかもと思っていたが、夕方にはほぼ快晴となり、自宅で万全の態勢で臨むこととなった。
 土星食の魅力は、環のある土星が月の後ろにジワジワ飲み込まれてゆくところにある。つまり望遠鏡で拡大して、その神秘的なジワジワ感を表現しなければならない。つまり動画がベストということになる。しかし静止画も欲しい。ということで、動画はSeestarに任せ、FCT125で拡大撮影をすることにした。
 名古屋では、18時19分ごろ潜入開始なので、17時ごろから準備を始めたが、強風で望遠鏡が結構揺れ、像がふらついて落ち着かない。まずはFCT125にバリエクステンダーとバリチューブ3個装着して焦点距離2100mmにしてオリンパスEM5Mk2ボディをセット。Seestarは、デジタルズーム4倍で撮像したかったが、強風で揺れに揺れてどうにもならないので、2倍で我慢。それにしても像が揺れるとAFが全く機能しない。それでも何とかセット完了。テスト撮影をしてあとは18時15分からの撮影開始を待つのみ。それにしても寒い。
 まず、Seestarの動画ボタンを押して、18時19分から、潜入完了するまでの約2分間、5秒間隔でシャッターを切る。意外と順調に潜入の撮影完了。出現まで30分ほどあるので、室内に戻って暖を取る。
 後半戦は、出現開始時刻が18時51分24秒なので、18時45分からスタンバイ。ただ出現時刻がどれだけ正確かも、月のどのあたりから土星が姿を現すのかも正確にはわからないので、この辺りと見当をつけつつ18時50分から撮影開始。しばらくすると月の眩しい縁から突起物が現れる。土星のリングの先端だ。あとは潜入時と同じ要領で撮影。18時54分には撮影終了。意外とあっさり撮影することができ満足。
 カメラのファインダーを通してしか見ることができなかったが、月のうっすらと地球照の見える欠けた側の北の端に土星が消えてゆく様はなんと幻想的か。土星が月の縁に半分ほど隠れると月のでこぼこも影となって浮き上がる。出現時の、唐突に突起が現れその後土星の本体が姿を現してくる様子もドキドキする。
 やはり惑星食が最高だと思えた素晴らしい瞬間だった。人生最後かもしれない土星食、本当に晴れて良かった。次は20237年3月28日だ。

 

2024年12月09日