晴れた!皆既日食

 4月8日に、メキシコからアメリカにかけて見られた皆既日食に、ツアーのインストラクターとして出かけた。
 観望場所は、アメリカ合衆国テキサス州ダラスの南西に位置するウェーコという街の郊外あるバレーミルズのワイン畑。
 当初から日食当日の天気は危ぶまれていたが、案の定朝の天気はべた曇り。今にも泣きだしそうな空を眺めながら大きなため息をつくとともに必ず晴れると気を強く持つ。
 午前10時観望場所のワイン畑に到着。幾分空が明るくなり、なんとなくいい感じ。さらに神道に基づき晴天祈願をする。まさに苦しい時の神頼み。不思議なことに想いが天に届いたのか、見る見るうちにあ青空が広がって来るではないか!
 「奇跡が起こった!」と叫びながら、晴れ晴れした気分で撮影機材をセットする。今回は、ミニボーグ60EDによる拡大撮影をメインに、40倍ズームのビデオカメラで動画撮影、35mmレンズによる進行写真撮影、全天魚眼のアクションカメラによる空のようす撮影、あとはデジカメによるスナップ撮影と、よせばいいのに欲を描いて5台もセット。
 12時′いよいよ部分食の始まり。とりあえず10分間隔で3台の機材で撮影開始。そして皆既30分前に全天カメラをスマホから制御して撮影開始。ところが不幸は突然訪れる。順調に進んでいたはずの撮影プログラムが、全天カメラとスマホとのWIFI接続が切れたところから音を立てて崩れ始める。何度も再接続を試みるも全く反応しない。ただ時間だけが過ぎてゆき、気が付けば第2接触の5分前。辺りはどんどん暗くなってくる。慌てふためいてメインの拡大撮影に専念するも、かなり気が動転している。拡大撮影だけはゲットしなければとやみくもにシッターを押す。それから10分後、皆既が終わり周りが明るくなり、やっと我に帰る。拡大撮影のフィルターを外したかどうかも覚えていない。撮影画像を確認するとコロナがしっかり写っているので、どうやら無意識のうちにフィルターを外したようでまずはほっとする。ところがビデオカメラはフィルターを外した形跡がない。確認すると、案の定写っているのは部分食だけで、コロナは全滅だ。
 まあ、拡大撮影と食の進行撮影は、なんとかなったので良しとするしかないが、毎度のことながら情けないやら恥ずかしいやら悔しいやら、ショックは隠せない。
 何度皆既日食を見ても、あの非日常的で神秘的なダイヤモンドリングとコロナそれに伴うあたりの異様な変化には、決して慣れることはない。いつも理性が飛んで放心状態になってしまう。
 今回は晴れたことが奇跡で、それで十分満足なのだが、今度こそはと次の皆既日食に思いを馳せてしまう。
 次は、2026年8月12日アイスランドからスペインだ。


2024年04月24日