ブルームーンに想う

 8月31日の月は、スーパームーンとブルームーンと重なったと巷では話題になっていた。

 スーパームーンとは、1979年に占星術師が、「地球と月と太陽が直線上に並び、月が地球に最も接近した状態」と定義したことが始まりだという。もう少しわかりやすく書くと、月が地球に最も接近したとき満月又は新月と重なった状態ということになる。つまり満月だけではなく新月の場合でもこの条件がそろえば、スーパームーンとなる。もっとも新月は日食の時しか見えないが。スーパームーンは、ほぼ1年に1回起こりときには2回起こる年もある。今年は、8月31日の満月がその条件に合致した。

 では、ブルームーンの定義とは、一般的には「1ヶ月に2回満月が巡る場合の2回目をの満月を指す」ということだが、実はこれは誤った情報だ。

ブルームーンは、アメリカのメイン州農暦で使われていた言葉で、二分二至(春分・夏至・秋分・冬至)で区切られた季節の中に4回満月があるときに、その3回目の満月をブルームーンと呼んだ。

 ではなぜ間違った情報が広がったのか?事の発端は、1946年にアメリカの有名な天文雑誌スカイ&テレスコープにブルームーンが紹介された際、「ひと月のうちに満月が2回ある場合に、その2つ目をブルームーンという」と間違った情報を掲載したことがきっかけだったようだ。スカイ&テレスコープ誌は、誤りに気付き、訂正記事を敬指したが、後の祭り。誤った情報が独り歩きをして、今やそれが正しいことになってしまったということだ。まあ、よくある話と言えばそれまでだが、やはり間違いはしっかり正すべきだろう。

 ちなみにブルームーンは、1年に13回の満月があるとその1つになるため、ブルームーンは旧暦の閏月と同様に、2~3年間隔で、19年に7回起こる(起こる年・月は一致しない)。ブルームーンとなるのは、二分二至の約2ヵ月後で次の二分二至の約1ヶ月前、すなわち、2月・5月・8月・11月のいずれかの21日前後、言い換えると、雨水・小満・処暑・小雪ごろのいずれかとなる。
2023年~2035年のブルームーンは以下のとおり。ただしこれは天文学上の二分二至にもとづく。
* 2024年08月20日
* 2027年05月20日
* 2029年11月21日
* 2032年08月21日
* 2035年05月22日

ところで、今後、9月29日は中秋の名月、10月29日は部分月食と、満月の話題が続く。

2023年09月07日