雲に遮られた半影月食

 11月30日は、今年3回目の半影月食だった。宵の口の現象だし半影に深く入り込む月食なので、ひそかに期待に胸を膨らませていた。18時頃から準備を始め、18時20分に月をお望遠鏡で眺めると、明るく輝く満月の北側がほのかに陰っている。これは行けそうと望遠鏡にカメラをセットしてピントを合わせ始めると、月の前を暗い邪悪な雰囲気のものが時々横切る。ムム、顔を上げるとなんと西の空からもくもくと雲が向かってくるではないか。
 これはやばいと、ピント合わせもそこそこに慌ててシャッタを切る。食最大があと10分後に迫っている。「それまで持ってくれ」という願いもむなしく雲はどんどん厚くなり、月はぼんやりとした姿を見せるのみ。あじゃ、6月21日の部分日食とおんなじだぁ・・・
それでもめげずに、「きっと善は悪に勝つ」と自分が善でもないのにそう言い聞かせながら寒さに震えながら待った。
 10分経ち食最大が過ぎ20分が過ぎ、時折月の模様が見えるものの、半影で月が薄暗くなっているのか、薄雲のせいなのか判然としない。19時40分「もはやこれまで」とあきらめ夕食タイム。
 食事のあと夜空を確かめるとずいぶん雲が切れてきている。20時30分、気を取り直して撮影開始。しかし時すでに遅し、月食のかけらも感じられない。とほほ。「仕方ないよね、食終了時刻は20時55分だもんね」と自分に言い聞かせながら、機材の撤収を始めた。
 来年は、月食の当たり年。まずは5月26日の皆既月食を楽しみに待つことにしよう。


2020年12月01日