10月31日の満月は今年最小だった

 10月29日は、旧暦9月13日で、十三夜だった。中秋の名月は中国から伝わったお月見だが、十三夜は日本独特のお月見で、平安時代宇田上皇が「十三夜も無双だ」と言ったのを聞いた醍醐天皇が始めたという。十三夜はこれからまだ満ちて行く月ということから、希望の月とも呼ばれている。

 10月31日は満月だった。いろいろな意味で特別な満月だった。巷で盛り上がっていたのは、ハロウインと満月が重なったのは46年ぶりだったという。ハロウインは、収穫祭でもある。そして収穫期の満月のことをハーベストムーンと呼んでいるので、見事な一致と言えるだろう。

 また、ブルームーンとももてはやされていた。ブルームーンを直訳すると青い月だが、別に月が青くなるのではなく、青い月はあり得ないので「滅多に起こらないこと」という慣用句として使われる。では何が滅多に起こらないのかというと、満月は普通は1ヶ月に1回しか巡って来ないが、今年の10月は、2日と31日の2回満月だったという滅多に起こらないことが起こったというわけである、この2回目の満月のことをブルームーンと言うらしい。

 しかし、ブルームーンという呼び名は、アメリカのメイン州の農暦で生まれた言葉で、それによると二分二至つまり春分秋分・夏至冬至で区切られた3ヶ月間に満月が4回巡って来た時の3回目の満月を指す。この理屈からすると10月31日の満月はブルームーンではなかったことになる。ちなみに本当の意味でのブルームーンは、来年8月22日の満月があてはまる。

 そして、10月31日の満月は、今年一番小さく見える満月だった。つまり地球から最も遠ざかっていたのだ。最近はその年に最も大きく見える満月をスーパームーンと呼ぶことが一般的になったが、今年一番小さな満月は、ミニマムムーンと言うらしい。実際スーパームーンとミニマムムーンの見かけの大きさを比較してみた。およそ視直径でおよそ13%も違うのだ。だからと言って「今夜の満月はいつもより小さいね」なんてことにはならないが・・・ちなみに昇ったばかりの満月が大きく感じるのは錯覚で、実際は高く昇った満月の方がやや大きく見えているはずである。

いずれにしても、月の見かけの大きさは、ダイナミックに変化しているのだ。

 

 

 

2020年11月02日