見えた!赤銅色の月

 11月19日は今年2回目の月食だった。ただし部分月食。皆既じゃないとなるとテンションはやや下がるが、今回は食分(欠ける割合)0.978で、本影から2.2%はみ出すだけの限りなく皆既に近い部分月食だ。
 名古屋の月の出は16時41分東北東方向から昇る。この時すでに月の左側が欠けている月出帯食。我が家の屋上の主力望遠鏡を設置してある南側からは屋根が邪魔になって月の出から1時間半近く月が見えない。月の出が見える場所に遠征するか否か(と言っても近くの公園だが)。迷った末、別の望遠鏡を屋上の北側にセットして撮影することにした。
 16時50分、そろそろ月が見えてもいいころだが、無情にも天頂から西側は良く晴れて、金星も土星も木星も良く見えているのに、東の空はべた曇り。「あじゃ、5月26日の再来か?」不安がよぎる。それでも17時15分ごろから、雲の隙間から半分以上欠けた満月が顔を出したり隠れたり。南西の空にはヘリコプターが5機も飛んできてホバリングしている。何か事故か事件でもあったのか?見えない月よりもそちらが気になって、ヘリの写真を撮り始める。(何やってんだか。どうも自動車整備工場の火災だったらしい。)
 気が付くと東の空も徐々に雲が薄くなりかけて食最大直前の赤く染まった満月が鮮明に見え始め、主力望遠鏡でも確認できるようになった!その後は、薄雲が時々かかるものの、最後まで観望・撮影することができた。
 何度見ても本影に入った満月の色合いは神秘的だ。地球の大気を通り抜けた赤い光が月を照らしているんだと考えるだけでソワソワする。双眼鏡で赤銅色の月とすばるも見える。
 今回は、ほぼ皆既に近い部分月食で、どれぐらい赤銅色の月が見られるかが気になったが、肉眼でもまあまあの時間見えた。というわけで、本影から姿を見せた月がくっきり見える写真と、本影に入った部分が赤銅色に見える写真を露出を変えて撮ってみた。本影に入っている部分は最後まで赤く染まっていることがわかる。
 完ぺきとは言えなかったが、11月8日の金星食に続いて、赤銅色の月を見ることができて本当に良かったと思う。次は1年後の11月8日にまた再会しよう。

 

2021年11月22日