トンガで起こった巨大噴火に思うこと

 年が明けて早20日あまり。それにしても今年の冬は寒さを感じる。それでも子供の頃は冬と言えば―4度は当たり前だったので、そのころに比べるとずっとましなのかもしれない。にもかかわらず寒さを感じるのは、ここ数年の冬が寒くなかったからか歳のせいか。それはさておき、1月15日にトンガで大噴火が起こった。噴火の規模は、1991年のピナツボ火山の噴火と同程度のVEI6だという。大きな被害が出ていないことを祈りたい。
 そこで思い出すのが、ピナツボ火山噴火の1991年から数年間のこと。まず夕焼け・朝焼けが空全体がピンク色に染まり、幻想的を通り越して不気味にさえ思えた。さらに1993年6月4日に起こった皆既月食の皆既中の月が異様に暗くほとんど見えなかったこと。そしてその夏は冷夏でコメ不足に陥り、ひょろ長くてパサパサのタイ米を食べた。この時は世界の年平均気温が0.5度下がったという。
 その原因は、噴火によって噴出した物質が成層圏まで舞い上がり、地球を覆ってしまったため、普通は通過できる波長の長い赤い光でさえ通過できなくなり、派手な夕焼け・朝焼けや皆既中の月が暗くなったというわけだ。そして平均気温が下がったのは、太陽光が噴出物で遮られ地上に届く光と熱の放射量が低下したからだった。
 では、今回のトンガの大噴火でも同じようなことが起こるのか?それは成層圏まで舞い上がった物質の量や内容によって決まるのだろうが、噴出したのは水蒸気、二酸化炭素、二酸化硫黄が中心なのだろう。二酸化炭素や水蒸気は、温室効果ガスなので寒冷化はしないのか?一方二酸化硫黄は太陽光を反射するので、寒冷化の原因となるだろう。まあ噴出物質の分析結果が出なければまだよくわからないことになる。
 今後、夕焼け・朝焼けがどう変化してゆくか、11月8日の皆既月食における皆既中の月がどれぐらい暗いかに注目してゆきたいと思う。それにつけても今回の噴火で排出された二酸化炭素量は、世界が排出する1年分の二酸化炭素排出量に匹敵するそうだ。年間何兆円も費やしてせっせと二酸化炭素を削減しても、一回の巨大噴火で吹き飛んでしまう。やはり人間は自然には従うしかないということをしみじみと感じる。


2022年01月21日