久しぶりに月を撮ってみた
ここ数日、一気に春めいてきて、ポカポカ陽気となっている。
春の訪れとともに、大気も徐々に安定してきて、シンチレーション(気流によるゆれ)がぐっと落ち着いてきた。おかげで望遠鏡で太陽や月を観ても、像が小刻みなゆらぎから穏やかなゆらぎに変わり、細部までよく見えるようになってきた。
そこで久しぶりに月を撮影してみた。さすがにまだ夏程の安定度には及ばないが、そこそこクリアーな画像が得られる。
月齢10前後になると、欠け際にグラビウス、ティコ、コペルニクス、プラトーといった巨大クレーターが姿を現し、壮観な眺めとなる。シンチレーションが安定していると、針先で突いたような極小クレーターや、小さな山魂、糸のようにか細い亀裂などデリケートな地形が浮かび上がってきて、まるで宇宙船の窓から荒々しい月面探訪をしているような錯覚に陥り時間が過ぎるのを忘れてしまう。月を望遠鏡で眺めたり撮ったりするようになって半世紀、よく「天体観望は月に始まり月に還る」と言われるが、まさにその通りだと実感できる。裏を返せば、もうそんな歳になってしまったとも言えなくもない。いずれにしてもいくつになっても月面探訪は楽しい。
撮影DATA
2022年3月12日18:51 FCT125+2倍アタッチメント
OLYMPUS EM-10Mk2 1/100秒 ISO400