トホホの部分日食

昨日の部分日食は、見えただろうか?GPVやSCWといった気象予報を見る限りでは、岡山以西北陸の一部、東北地方は晴れ間が広がったのではないかと思うが、ここ東海地方は、ほぼ曇りだった。それでも北の方ほど雲が薄く、おぼろげながらでも見えたのではないだろうか。
私の住む名古屋では、少なくとも午後4時までは太陽が割とくっきり見えていた。ところが欠け始めの4時10分には、雲を通して亡霊のような太陽しか見えなくなっていた。太陽フィルターをセットした望遠鏡で覗いても太陽の輪郭さえわからない。「あちゃ、ちゃこれではどうしようもあーりません」。でも雲は流れているし、食最大までまだ55分ぐらいあるし、食の終了までは2時間ある。きっと雲が薄くなるタイミングが巡ってきて、シャッターチャンスはあるだろう。それまで待とうとと、楽観視していた。
暇だし、本来だったらそこにいるはずだった台湾嘉義の北回帰線太陽館からのライブ中継を見ながらのんびり待つことにした。嘉義のイベント会場では、レクチャーがあったり歌や踊りがあったり、ものすごく盛り上がっている。でも天気は今一つのようす。悲しいような嬉しいような複雑な心境で中継を見ていると、人たちが歩く足元に影ができている。それとともにMCの声もテンションが高まってゆく。やがてざわめき越えとともに画面は太陽の拡大映像に代わった。そこにはくっきりとした凛々しい姿の太陽が写っていて、下の方が少し欠けている。「晴れてるんだ!」そこはかとなく漂うむなしさと悔しさ。結局嘉義では、私もい今までに見たことのないような美しい金環日食が観られた。「台湾の皆さんおめでとう!」
さて、名古屋の空はと言うと、嘉義のような感動的なことも起こらないまま、時間だけが淡々と過ぎてゆく。それでも太陽の明るさに合わせてフィルターをとっけひっかえしながら、ダメもとでシャッターを切る。

午後6時10分、もはやこれまでと機材撤収。言いようのない疲労感にさいなまれながら・・・

 

2020年06月22日